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「座敷童だ。タバちゃんには視えてたんだな」
いつの間に戻ってきたのか、ヒロ刑事がウルフ刑事の肩を叩いた。
「まお君は父方のおばあちゃんの家に引き取られたらしいぞ。ツバキ先生が言ってた」
「そうですか。これでよかった……んですよね」
ウルフ刑事はホッとしつつ、チクリと胸が痛んでうつむいた。最善の策とはいえ、自分達が母親と引き離してしまったのだ。
「ああっ!」
ヒロ刑事の大声に、ウルフ刑事はビクンと飛び上がった。
「ななななんですか? びっくりさせないでくださいよぉ」
「おい、今日で休暇終わりだって知ってたか? 結局休めなかったじゃないかー! シーサー課長め、許さん!」
肩をすくめたウルフ刑事の視界に、まお君が飛び込んできた。体のどこにも包帯がなくパッチリと目を開いて走り回っている。
ウルフ刑事はふっと頬を緩めた。
「そうだ! 許さないぞー!」
ウルフ刑事も空に叫んだ。
人を傷つける犯罪は許さない。それで感じる胸の痛みは抱えていこう。誰かの未来を護るために……。
太陽に向かって、珍しく刑事らしい決意をするウルフ刑事だった。
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