ゆるさない

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ゆるさない

「ゆるさない」 わたしは震える声で彼ら(・・)を睨みつけた。 「お姉ちゃん、こわぁい」 妹のあゆみがわたしの婚約者の腕に抱きつく。 「まぁまぁ、はな、落ち着けよ」 「落ち着けよ?浮気しておいてあなたにそれを言う資格がある?挙句子どもまで作って。」 わたしはぽっこり膨らんだあゆみのお腹を見る。 元々はわたしの婚約者よ? それなのに、わたしの妹は婚約者である公輝を好きになった。そして、公輝も、あゆみを好きになり 子供ができた。 怒りの炎が燃え上がる。 「あんまり怒らないで?お姉ちゃん。 お腹の子が聞いちゃうから。」 わたしの中で何かの糸が切れた。 「うるさい、黙れ」 わたしはあゆみを突き飛ばした。 「きゃあっ」 あゆみが勢いよくお腹を床に打ちつけた。 「あゆみっ!!はな!なんてことを!」 あゆみはお腹を押さえて痛がっている。 「大丈夫か、あゆみ!」 死ね、みんな死んでしまえ。 わたしはあゆみに馬乗りになった。 「お、お姉ちゃん、ごめんなさい……ゆ、ゆるして」 妹が苦しそうに謝罪の言葉を口にする。 わたしはにっこり笑った。 「ゆるす?ゆるすわけないじゃない」 「お、お姉ちゃん、お願いだから!!」 「死んで」 わたしはあゆみの首を締める。 「あ、ぐぁっ、うぐっ、あっ」 その瞬間後頭部にガツンと衝撃が走った。 「うっ」 わたしはあゆみの体の上に倒れ込んだ 視界に映っているのは バッドを持った公輝。 「ど、して」 息も絶え絶えに公輝に問う。 「お前も、あゆみも遊びだったんだよ。それなのに 妊娠なんかしやがって……ちょうど良かったよ お前たち二人とも消えれば証拠隠滅になる。だから死ね」 ひどい怒りを覚える。 わたしたち姉妹を弄んだアイツに。 「ゆる、さない」 わたしはアイツの小さくなっていく背中を見つめ呟いた。 「絶対殺す」
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