*始まりの命*

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 そして取り返しのつかない罪を彼女は背負った。 始祖のカルラの生命と引き()えに。 人々はその魔力に(おび)えた。 カルラさえ倒す我が力に恐れ(おのの)いた。 そして誰よりも深く深く傷ついたのはクリスティーナだった。 彼女は自分の生を(うと)んじた。 始祖のカルラさえ消してしまった我が魔力を嫌い、 けっして取り返しのつかないことをしたと(さと)ったのだ。 「死んじゃ駄目だよ、幼く小さな君」 そう言って笑ってくれた炎の化身。 始まりの生命は消滅し、エターナリヤから消え失せた。 そして自分の罪に耐えかね、白の女神も消滅した。 自分の生命を引き裂くように、バラバラにして。 それでも欠けた生命の欠片はまた別の自分になって、命を(つむ)ぎ またもや魔力を宿した【白の女神】と呼ばれた。 生まれ変わりなど望んでいないのに。 だからなのか、彼女は人やカルラに触れない領域(りょういき)に 潜む事で外との接触を断った。 だが女神と契約(けいやく)し、魔力を得るようになった獣人族の存在。 獣人族は白の女神を敬愛する魔法使い。 そして人は科学を手にして『黒の神』という存在を作った。 違うけれど、繰り返される。 今度は人と獣人族が争いを始める。 争いを止めようとしてくれた始祖のカルラは、もう居ない?
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