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悲鳴と恐怖が入り混じって走った。
ゼオンにはそれが見える。
感じる。
心の声が聞こえる。
憎悪、悪寒、怯懦。
あがき、悲痛と諦め。絶望的な力の差。
「死にたくない!」
肉体から離れるように乖離する魂の共鳴。
皆が叫んだ。
その時だった。
突然、少年の両手首についていた対魔の銀が溶け落ちた。
まるでアイスクリームのように。
風が炎に切り替わったのだ。
真空が途切れ、酸素を得た炎が少年を中心に
渦巻き、バックドラフトのように爆発した。
全ては炎に飲まれるように炎上する。
「ユウリィの・・・・声が…」
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