*異端者の少年*

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 しばらくしてユウリィは目を覚ました。 「ゼオン…!?」 「ここにいるよ」とそっと彼女の髪に触れ、長い耳を撫でる。 「あのお兄さんも私の耳を撫でようとしたの… でもちょっとだけ嫌だったから」 「悪いことしちゃった」 ビビット族が耳を触らせるのは特別な関係だけだ。 「その理由。たぶん、あの男も知ってる」 そう言って椅子で居眠りするカイを見つめる。 「どうしてまだ、ここにいるの?」 「カイって言ったか」 「アイツがここにいるからって俺の滞在を許可させた。 お前が目覚めるのを見ないと何かするとでも思ったんだろ?」 笑うゼオンに「笑い事じゃない、もうこんなことしないで」 とユウリィ。 抱きつこうとするのをゼオンの両腕が支えた。 耳に甘く彼女が(ささや)く。 「カイさんが言ってたよ、ゼオンは私の為に怒ってるって」 図星だから何も言えない。 「なぜ、こんな無茶するの?ゼオン、この塔の人 みんなにマークされるよ」 すでにされてるという言葉は飲み込んだ。
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