お前なんか雷と同じくらい嫌いだ!

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「耳栓ないの?」 「ない」 ちっと舌打ちする。 壁の方を向いて横に寝る。 何が楽しくて男と一緒に寝るのだろうか。 2人用でもないし、だからと言って客用の布団やソファがあるわけでもない。 まだ夜は寒い季節だからベットの外だと確実に風邪をひく。 だから仕方なしに二人で仲良く布団に入っている。 しかもこのおどおど野郎と。 さっきはパニックで気が付かなかったが、当然雷の音がしっかり聞こえて震えてしまう。 地獄だ。ここは地獄だ…! 「怖い?」 「こ、こわいわけ、ねぇだろ…っ」 「震えてるよ?」 「寒いからだよっ!!」 ぎゅっと目をつむる。 早く夢の中へ入ってしまえば、聞こえ無くなれば…! と、その時だった。 後ろに温かさを感じて、ぎゅっと抱きしめられた。 「…怖いならまた抱き着いてもいいんじゃない?」 後ろから、静かにそう聞こえた。 吐息が首に当たってぞわっとした。 「なっばか、なんのつもりだよ!」 びっくりして振り払おうと暴れる。 が、気が付いたら相手が上にいる状態になっていて。 目が真剣だった。 「僕の事、もっと頼ればいいと思う」 そんな真剣な顔をして、頬を撫でられ、正面から抱きしめられた。 「か、かつ…ッ」 しっかりと抱きしめられて抵抗しようにも動けない。 なんだよこいつ、なに考えてんだよ…! さすがに顔が赤くなる。別の意味で心臓がバクバクし始めた。 とまたバアアアァン!!と音がした。
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