お前なんか雷と同じくらい嫌いだ!

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ある日の事。 定時の後。気が付いたら部署内にいるのが俺と勝己だけ。 それに気が付いたのは俺だけじゃなかった。 勝己が俺を見た。 げ。気まずい。 …もう帰ろっかな。 今日は一日ずっと最悪の天気で、雨はざーざー降っている。 正直、雨は嫌いだ。心が不安定になる。 おまけに、ゴロゴロ言っている。 これは、本当にまずい。 さっさと帰れと天の神様も言ってるんだ。 カバンをつかんでスーツを着始める。 と、 「仁藤君」 勝己の野郎が目の前にいた。 相変わらずの一重。二重の俺からすると眠そうにも見える。 「何?」 つっけんどんに返事する。 「もし、よかったら今日飲みに行かない?僕、いいお店教えてもらって…」 「却下」 飲みに行って何話すんだよ。俺がわかんねぇよ。 何度断ってもこいつはめげずに誘ってくる。 お気に入りちゃんは大好きな上司と飲んでろっての、くそ! そのお店だってどうせその上司に教えてもらったんだろーが。 カバンをつかんで、 「お疲れ様で―す」 ぶっきらぼうに言って扉に向かう。 が、 「仁藤君!」 腕をつかまれた。 ものすごい力だった。
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