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異世界アイドル、世界を救う。
その日、空から落ちてきたのは人間だった。
それも、なんかキラキラした衣装を纏った少年。
「どっわああああああああああああ!?」
「ぎゃああああああああああああああああああああ!?」
真下にいた僕、見事にぺっちゃんこ。
男の子のお尻に敷かれてしまい、意識を飛ばしかける羽目になってしまった。
「お、王様ぁあああ!?」
何が問題って、僕が一応この国の王様ってこと。超童顔なので小学生とか言われるけど、これでもれっきとした十八歳、大国ラムダの若き王様なのだ。まあ、こんな早く即位する羽目になったのは、両親が揃って事故で死んじゃったせいなのだけれど。
「ぶぶぶ、無礼者!王様をお尻でぺっちゃんこにするなんて!」
「ていうかお前、どっから落ちてきた!?ここ王宮の玉座の間だぞ!?」
「天井に穴……は空いてないな、何がどうなってるんだ!?」
「曲者、曲者ぉ!?」
「うわああ待って待って待ってこれどういう状況ォ!?」
荒事にあんまり慣れてない兵士達もパニクってるし、僕の上に降ってきいた少年もパニクってるし、はっきり言ってまったく収拾つかない状況である。
「と、とりあえず、降りて……重い」
「あ、ごめん」
僕の上からどくのを忘れていたっぽい少年が、慌てて立ち上がる。そして、大混乱の兵士達に銃をつきつけられてちょっと泣きそうになっている。
この状況、僕はちょっとだけ心当たりがあった。思いきり打った腰をさすりながら、僕はよろよろと立ち上がると兵士達に静まるように伝える。
「……君、名前なんて言うの?僕はこの国の王様の、ブラッド・アシュトンっていうんだけど」
人に名前を尋ねるなら、自分がまず名乗らなければいけない。死んだお父様とお母様にもしっかり教育されたことだ。
「君、ひょっとして異世界人だったりしない?」
「ふへ?」
僕の顔を見た、高校生くらいの黒髪黒目の長身の少年は。眼をぱちくりして変な声を出したのだった。
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