第3話 奇跡がもたらす『最強』の上

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青き瞳が煌めき残光を引く。 (見える) 肩付近から射出されたレーザー状の閃光を身を翻して避け、真下から突き上げられる右拳に足を添え、ポンッと蹴って軌道から外れる。 (ああ……なんだこれ……俺は、俺は今まで───こんな美しい世界に生きてたのか) 世界に満ちる不思議な力。目視不可の自然の力が、今のユラシルには全て見える。 『絶廻』スカイリベルの最後の能力───『ワールド』の可視化。 雪よりも小さい微細な光の粒が周囲に満ち溢れ、ユラシルが手を動かすだけでふわりと揺蕩(たゆた)う。 『ワールド』が見える。僅かな変化も、流れもはっきりと。 ユラシルは視界にある全ての『ワールド』を目視し、その動きから予測して『終局』の攻撃を割り出していたのだ。挙動からの行動のを見るよりも正確な流れは、『ワールド』の集合体である『終局』を見れば一目瞭然。 今やユラシルにとって最も厄介だった瞬間移動すら先読み出来る。いつ、どこへ移動するのかがわかってしまえばなんの脅威にもならない。 『ワールド』使用時の負荷解消。 『ワールド』増幅と高出力。 『ワールド』の可視化。 それら全てがスカイリベルからの贈り物。信じ続けた相棒が身に付けた最高の能力。 だから。 「───見えてるぜ」 頭を先頭に飛び、迫り来る無数の光線と拳を掻い潜ってユラシルは『終局』の胸元へ辿り着き、スカイリベルを突き刺した。 力で形成された『終局』の中に見える"歪み"に。 「今の俺の目には全て見えてる。わかったら出てこいよ───"フィーナ"」 ユラシルの発言に目を見開いたミラとシービス。
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