第3話 奇跡がもたらす『最強』の上

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「【破月】!!」 スカイリベルから吐き出された超巨大な三日月は美しい蒼に彩られていて、片腕で受けた『終局』を軽々と薙ぎ払ってみせた。 (『ワールド』の出力が今までの比じゃねえ。確かにスカイリベルは『ワールド』への適応性が高かったけど……) 「【破月】極式・【天裂海断】」 【破月】の最上位、『ワールド』を使用した技の中で最も破壊力のある斬撃を放つ。 山を越える巨大な怪物が───見上げるほどの一撃だった。 「す……すごい…」 アリッシュが呆気に取られてしまうその威力は、『終局』を引き裂き撥ね飛ばし、広大な『グラシエラ大陸』を中央部から海岸まで駆け抜けていった。 「これが……生まれ変わったスカイリベルの本領かっ…!」 持ち主のユラシルが震え上がり、引きつった笑みを浮かべてしまうほどの規模。 これが『絶廻』スカイリベルの力。 『ワールド』への高い適応性能、加えて貯蓄する能力は正しく人知を越えた物へと昇華していた。 ───適応性能は向上し、その上で使用者への負荷を零にする。 ───貯蓄は増幅作用が付与され、注ぎ込まれた力をおよそ三倍にする。 そして、もう一つ。 瞬間移動した『終局』がユラシルの背後に立ち、構えていた右拳をフルスイング。それに対し、なんとユラシルは拳を放つ前から肩越しから青い瞳を向けていて軽やかにかわした。 (すげえ……なんだこれ、わかってたのに……こんなんになるのかよ…) 続けて左腕が真横から迫るがそれも空振り。ユラシルは『終局』が攻撃を繰り出す前から回避行動に移っていた。
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