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『───まさか私に気づけるなんて驚きだわ。生まれ変わったこの剣のおかげかしら?ユラシル』
反響した声音。
スカイリベルを掴み取る緑色に煌めく細い右腕。
『終局』の胸元から出てくる、一人の少女。
フィーナ・ケーテル───本人である。
「あなたの様子からして、私の存在に気づいていた節があったみたいね」
胸元から飛び出る上半身。衣服を纏っていない裸体を晒していながらなんの恥じらいも見せないフィーナはユラシルを見つめて微笑む。
「お前の作ったお友達の話を思い出して矛盾に気づいたよ。お友達は感情が無いと言っていたが、だとしたらお前を殴り殺した時の嫉妬も、俺が壊れる様を見たいっつー楽しみも、仲間たちに追い詰められて変色した怒りの色も辻褄が合わない。つまり、お前は最初からお友達に感情を与えていたんだ。お友達自身が気づかないほど小さな感情の芽を、学習と錯覚するほどの物を植え付けていたんだろ」
「それだけで私がいると?」
「いいや、根底から間違っていたんだ。そりゃそうさ、騙されたまま信じてたお友達の話をそのまま信じてしまってたんだからな」
ユラシルはスカイリベルを引き剥がしてからフィーナを睨み付け、吐き捨てるかのようにこう言い放つ。
「仮説を立てたんだ、お前は実はずっと世界を憎んでいたんじゃないかって。ケーテル族で孤立し虐げられていた環境がその憎しみを育て、純真無垢なお友達に間違った認識をさせて『終局』として完成させ、世界を壊すっつー目的があったんじゃないかってな。わざわざ自分自身を食わせるまでお前の想定通りだったんだろ」
「素晴らしいわユラシル。そこまで到達するなんてあなた以外の人間には絶対に不可能よ。世界を壊す人間だからこそ理解出来たのかしらねぇ」
フィーナは愉快に笑って見せる。ユラシルの眉間により深いシワが刻まれた。
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