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「あなたの仮説通りよユラシル。これまでのことは全て私の思惑通りの事態。あの子を完成させ、世界への憎しみを抱かせ、私はあの子の内側でひっそりと隠れ世界崩壊をこの目で見届ける。私を拒絶した世界が跡形も無く破壊される様を焼き付けるための器───それこそがこの『終局』よ」
「何が世界の代行者だ、何が世界のバランスを保つだ。結局はテメェ一個人の憂さ晴らしだったんだろ、そんなモンのために関係無い人間を、生物たちを全滅させるなんざ許されることじゃねえぞ」
「世界の核と繋がった私は世界の代行者以外のなんだと言うの?現に私一個人の力で世界を壊せる。世界が私を産んだの、そして私はその世界を憎んだ。拒絶されたから。私が世界を許すことなんてあり得ない、私以外がのうのうと生きていられる世界なんておかしい……私の憎しみは、この世界がある限り尽きることは決して無い」
ゾッと背筋が凍った。
フィーナの瞳から、言葉から感じ取った冷淡な感情は強大で、何をどうしようと溶けることは無いと察した。
人間の感情が世界の力である『ワールド』に影響を与えられるのなら、フィーナの憎しみという感情は世界を壊せるだけの影響力を宿している。ユラシルでさえも理解出来ない彼女の憎悪は、まさに世界を滅ぼせるまで肥大している。
でも、それでも、
「やっぱ、変わんねえわ」
「?」
「お前の憎しみをしっかりと耳にしても俺の覚悟は揺るがなかった。お前個人の意思でも、もしも世界の意思だったとしても俺の答えは変わらねえ。───俺という存在は、お前という存在を生かしてはおけねえ」
「安心してユラシル、あなたに理解してもらう気はさらさら無いわ。私もそうだもの、あなたがどんな言葉を投げかけても、どんな気持ちをぶつけてきても私の憎しみは揺るぎはしない」
世界を憎み、全てを壊すと決めたフィーナ。
世界を愛し、なんとしてでも守ると決めたユラシル。
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