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第二八回の『全容把握探索』をもって、この世界にある全ての陸地は確認された。
点々とある島々にはそれぞれの生態系、自然が確立され、人間が踏み込めない、住むことが叶わない場所が発見され、犠牲者を出したものの『開拓地図』が完成した。
そして、最後の探索となった第一八回にて我々人類は世界の神秘を目の当たりにした。
島と呼ぶにはあまりにも広い最果ての地を、我々は『グラシエラ大陸』と名付けた。
『グラシエラ大陸』の報告内容には以下のような物があった。
『山を優に越えた人間に似た形の何かがいた』と。
最初は誰も信じはしなかった。妄言だと言い切った者もいた。何故ならば『グラシエラ大陸』を見に行った探索隊のメンバー、その殆どが正気を失っていたからだ。
唯一まともに話せる者からの情報。あり得ないとしても、世界は我々人間には到底理解出来ない生き物がいても不思議ではなく、仮に実在するのなら、恐らくその存在はこの人類を、生物を、世界をも壊してしまえるのだろう。
その存在を『終局』と名付けた。
いるかどうかもわからない存在に名を付けるのは滑稽にも思えただろう。
だが、『終局』は実在した。
遭遇し、目撃し、戦ったという者が現れたからだ。
その男は未来の世界から時を越えてやって来たと言う。
男の目的は『終局』の撃破。世界を壊せるなんて単なる表現を現実に出来る最悪の結晶と男は言った。
世界を壊せるような怪物を撃破すると約束し、男は確かな強者たちを引き連れ『グラシエラ大陸』へ向かった。
勝ってくれと、そんな頼みをしたのは初めてのことだった。
どうか、どうか世界を救ってくれ。
救われた世界で、私は次のページに記そう。
世界を救った英雄の名を、後世に、彼がいた時代にまで伝わるように。
第三代エマリエーカ王国国王、ベルセッタ・アスタリース。
『エマリエーカ王族史記』
四二六ページより抜粋
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