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バズギー・ローズエッタは、
「マジかよ……」
わかっていたのに、とうに覚悟は出来ていたのに、その怪物を見た時、認識した時、ついつい戦いへ向かう足は止まってしまった。
自分だけではない。きっとあれを視認した者たちは例外無く愕然し、絶句して立ち止まってしまっただろう。
「あれが……『終局』…」
「…世界を壊す破壊の権化、まさにその通りの怪物だね」
傍らで、大量の冷や汗を噴き出すレビック・ハインバイスが震えた声を口から漏らした。
「………あんなのに、人間なんかが勝てんのかよ…!」
「……気持ちは痛いほどわかる」
「だけど」とレビックは続けた。心の底から理解していながらも、
「奴を倒さなければ世界は救われない。そして、ユラシルくんの夢も叶わない」
「っ──。そうだよな……リーバックは、あいつを殺すために今まで頑張ってきたんだよな。そんで、俺たちはそれを手伝うためにここに来た」
「…心の揺らぎは、大丈夫そうかい?」
自身の頬を両手で叩き、揺れていた意思に喝を入れる。
「ああ、今大丈夫になった。あの野郎をここで終わらせる、リーバックの夢を叶えるために俺はここに来たんだ…!リーバックにあんだけカッコつけて啖呵切っといてビビってちゃ笑われちまう!」
「急ごう。出来る限り早々に片付けて、アリッシュ様たちの増援に向かう。それが僕たちのやるべきことだ」
「おうっ!」
バズギーとレビックは再び走り出す。広大な『グラシエラ大陸』の自然を飛び越えながら、視界の端で佇む巨大な怪物に似た強い気配を放つ脅威へ。
「僕は遠くの奴をやるよ」
「だったら手伝わせろ、なるべく消費は抑えておくべきだからな」
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