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「……すまない、甘えさせてもらうよ」
空中に高く飛び上がった二人。バズギーは背負っていた真紅の斧を手にし、振りかぶり、刃と反対部分にレビックが足をかける。
「負けんなよ」
「そっちこそね」
グッッ!!と力を籠めた全身を捻り、斧を振り回してレビックを射出。弾丸の如くカッ飛んでいくレビックを見送り、一息ついてからバズギーは勢いそのままに地面を踏み砕いて着地する。
「───奇遇じゃねえか。まさか俺の相手も斧を持ってるなんてよ」
正面に立つは純白の巨人。腕も足も、胴体も太く筋肉質な見た目をした世界の番人『ワールド・ガーディアン』は持ち主に見合った巨大な両刃の斧を持っていた。
巨大は正面に立つバズギーに反応し、ゆったりとした挙動で地面に刺していた斧を引き抜き振りかぶる。
「テメェも化物なのは変わりねえんだ───初っぱなから全力でブチ壊しにいくぜッ!!」
バズギーとレビック、二人が交わした会話に似たやり取りを済ませた少年少女たちもまた自分の目的を果たすべく駆けていた。
「僕が奥にいるのを相手するっす。僕の速度なら、二人が奥の奴に辿り着くより速いっすから」
「その方がいいわね。シェリム、死ぬんじゃないわよ」
「気を付けてね」
「はい、二人も気を付けてください」
ズバゥッッ!!!と全身から白い光を噴き出して飛んでいったシェリム・キーファーズを最後まで見送らず、サラ・ステイハインとメイリー・ヒッチコールは駆けていく。
「……あれが、ユラシルくんの世界を壊した『終局』なんだね…」
「間違いないでしょうね、あんな怪物何体もいたらそれこそ世界の終わりだわ。……まぁ、あの一体だけでも十分やってしまえるんだろうけど」
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