90人が本棚に入れています
本棚に追加
「サラは怖くない?」
「……正直怖いわ。でも、多分ユラシルはもっと怖かったと思う。自分がいた世界を壊した怪物とまた戦うってなればビビって当然だけど」
「そうだよね…」
「メイリーは怖くないの?」
「…私はそれほどじゃないかな。多分、本当ならずっと前に死んでるはずだったから」
メイリーの言葉にサラが目を細める。
「私が今こうして生きてるのはユラシルくんのおかげだからかな?ここで死ぬことになるかもって考えてもそんなに怖くないの。今の私の人生はおまけみたいな物だって思ってるから」
「メイリー……」
「でも、簡単には死なないよ。死ぬ気も無い、絶対みんなで生きて、『終局』を倒して世界を救う。その思いは揺るがない」
「……安心しなさいメイリー」
ザンッ!と二人は同時に停止し、サラがメイリーの肩を軽く叩く。
「あんたにはあたしがついてる。そしてあたしにはあんたがいる。あたしたちのコンビはこんな巨人なんかに負けたりしないわ」
「………、うん、そうだねっ…!」
少女たちの前にいるのは太く長い腕を四本生やした『ワールド・ガーディアン』。四本の腕には手甲が装着されており、防御にも攻撃にも絶大な威力を発揮する凄まじい硬度を秘めている。
「さーてと」
サラは全身至るところを叩いていき、最後に顔を叩く。
メイリーは静かに呼吸を整え、まるで祈るように両手を握り合わせた。
「【流倒遊回】」
サラの全身から白い光が溢れ出し、瞳の中に純白の輪が浮かび上がった。
「【斜陽爛漫・切開腕】」
離れたメイリーの両手に研ぎ澄まされた光が迸り、指一本、腕その物までもが鋭利なメスのような切れ味を宿す。
最初のコメントを投稿しよう!