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背後から迫る気配に即座に行動して回避。今しがたかわした矢が"戻ってきた"、それだけでシェリムはあの矢の脅威を見抜く。
(標的に当たるまで、てことかな……なら)
また飛んできた矢をかわしてからシェリムが飛ぶ。矢も追いかける形でついてくる。
正面から三つ新たな矢が飛来。それを危なげなくかわしたシェリムは止まることはなく、矢を放ってくる巨人を目視し、
「全部お返しするっすよ!」
計四本の矢を引き連れるシェリムは弓を構えた『ワールド・ガーディアン』の眼前で急加速。背後に回り込み、狙い通り四本の矢が巨人に直撃。
その後、大爆発。
「うぎぃいいッ…!?」
爆風と『ワールド』に打たれて吹き飛ばされるシェリムはなんとか制止し、腰に差していた漆黒のナイフを取り出す。
「遠距離タイプっすか。だとしたら相性最悪っすね、僕すばしっこいから当てられないかも」
世界の番人相手にシェリムは余裕を見せる。
見せれるだけの確たる理由があるからだ。
「今の僕、ユラシルさんの次くらいに速いっすもん」
バヂッ、とシェリムの肩辺りで小さな黒い稲妻が弾けた。
───少年少女たちと世界の番人たちとの戦いが始まった。
それらから少し遅れる形で、ようやく最悪の化身が動きを見せる。
「散れェッッ!!!」
セイン・クラックバーンの言葉を耳にし、五人の最強は散り散りに大きく跳躍。さっきまで愕然としたまま立ち尽くしてしまっていた場所に巨大な掌が落ちてきたのはその直後だった。
地盤ごと砕け、吹き荒れる爆風が威力を物語る。
たった手を打ち付けただけで地表を破壊してしまう───『終局』の力が露になったのだから。
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