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「バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
止まらない。止まらない。
荒々しい咆哮と共に吹き抜ける小さな漆黒が『終局』の至る箇所を引き裂き、後ろ回し蹴りが巨大な頭部にぶつかり巨躯を揺るがした。
「ちょちょっ!!何!?あれシェリムよね!?シェリムどうしちゃったわけ!?めちゃくちゃ強くない!?なんで黒髪!?」
「集中してサラ!!私たちはみんなみたいな機動力が無いの、一瞬でも気を抜けばペシャンコになっちゃうんだから!!」
「わかってるわよ!わかってるけど…!」
ドッッ!!!と『終局』の肘を受けたシェリムが地面にめり込む。だがすぐに血と涎を撒き散らして吠えながら飛び出してくる。
「ハァァァッ!ハアァァァッ!!」
「シェリムッ!」
背後にやってきたのは漆黒の翼をはためかせるセイン。シェリムは血走った目だけを動かす。
「何が起きているかは知らんが無作為に攻めても無駄だ。だが、その速度ならば活路は見出だせる」
「ハァァッ…フッ、フハァァッ…!」
「今の俺ならばお前の速度にもかろうじて続ける。逆にお前なら俺の最速に難なくついて来られる。俺の声を聞き逃すな、奴の一挙動に気を配れ───いいな?」
「───はいッ」
返事を返し、聞き届け───二つの漆黒が大陸を疾走していく。仲間たちの隙間を抜け、置き去りにする二人は『終局』の左右の足に到着し、
「【神風吹】ッ…!!!」
「【乱れ裂き】ッッ!!!」
黒い刀と短剣で、引き裂きながら駆け昇る。あっという間に肩にまでやってきた二人は同時に、挟み込む形で『終局』の首へ突っ込んでいくが届く前に手を差し込まれ阻まれた。
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