第3話

1/1
前へ
/14ページ
次へ

第3話

 俺は布団にくるまりながら、エリカのことを少し睨んでいると、エリカは俺の隣で横になった。  当然、俺とエリカの顔のキョリは近くなる。エリカの使っているリンスなのか、良いにおいがするし、なによりエリカの吐息がくすぐったい。 「ねぇ、シュウ」 「なんだ?」 「私、シュウのこと、大好き。愛してる」 「……」  色っぽい声と少し赤くした顔がめちゃくちゃ可愛い。思わず顔をそらしてしまう。 「シュウ、私のほうを見て」  エリカの手が俺の頭にのびてきて、俺とエリカの目が合う。  さっき逆レイプされかけた身なのに、心臓がバクバクとうるさい。こんな状況にドキドキしない男子がいないとは思うが、エリカに俺をコントロールされているような感じが妙に悔しい。 「シュウ、私と———」  エリカが大切なことを言おうとしたとき、ジャストのタイミングでスマホのアラームが鳴った。  俺が起きるのは、学校に遅刻しないぎりぎりの時間だ。そのため、ゆっくりとする時間がない。  くるまっている布団から脱出して、俺はアラームを止めた。  布団を上げ、カーテンを開けると、部屋が朝日に照らされた。夏を想像させるようなまぶしい光だ。  その光に目を細めながら、乱れた制服をただしているエリカにそれとなく、さっき言いかけた言葉の続きを聞いてみる。 「さっきはな————」 「また今度ね」  先回りしてエリカは答えた。その顔は笑っている。  もしかして、エリカは……。いや、多分、実際にそうなんだろう。 「ほら、朝ごはん食べていくんだろ」 「うん」  考えると少し落ち込んでしまいそうなことは考えないで、とりあえず朝ごはんを食べて、きれいさっぱり忘れることにした。 * 「いってきまーす」 「いってきます」 「いってらっしゃい」  お母さんが台所から「いってらっしゃい」というのを聞くと、玄関のドアを閉めた。  「いってらっしゃい」というのを聞かないと、なぜだか不安にかれれてしまう。 「シュウの心配性なのは、いつまでも変わらないんだね」  エリカは俺の考えていたことを見透かしたのか、優しく微笑んでいる。朝の恐怖を覚える表情とは大違いだ。  ある意味恐怖を覚える。 「なんだよ、その微笑んでいる表情は」 「シュウがかわいいから」 「かわいくないだろ」  高校二年生の俺に、かわいいはおかしい。かっこいいと言ってほしいものだ。別にオシャレなわけでもないし、かっこいいセリフを言うタイプでもないけど……。 「かわいいよ。ついつい食べたくなっちゃう」 「さらりと怖いこと言うなよ」  俺は少しエリカからキョリをとっておく。キョリと言っても、十センチくらい離れただけだが。 追記。7月6日。 いつもお世話になっております。ポン酢です。 貴重なお時間の中、グーグルフォームにご回答していただき、ありがとうございます。新しい発見をすることができ、とても勉強になっています。 また、応援メッセージをいただくことができ、とても嬉しく感じています。 現在第二話を確認したところ、URLがハイパーリンクになっていなく、大変なご不便をおかけしたことを、申し訳なく思っております。 今運営の情報を確認したところ、ハイパーリンクとなるのはhttps://kakuyomu.jpから始まるURLのみのようです。スパムなどの対策だと思われます。もっともな理由です。 なので、フィードバックをより気軽にいただきたく、近況ノートにそのフォームのURLを載せさせていただくことにしました。 https://kakuyomu.jp/users/sizen/news/16817139556424641269 上記のURLが近況ノートへのものとなります。 貴重なお時間の中、大変恐縮ですが、フィードバックのほど、何卒よろしくお願いいたします。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加