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【 黒猫ティグル 】
「むむっ」
ティグルは、少し驚いている様子。
「これで分かったでしょ? 私はあなたのご主人様の彼女、美亜なの。夢に出て来たピエロが、枕元に黄色い金平糖の入った瓶を置いていって、その黄色い金平糖を食べたらなぜか白い猫になっていたの」
「はぁ? 黄色い金平糖を食べたら、猫になったぁ? お前、面白いこと言うな」
「うそじゃないの。信じて、本当なの」
「まあ、その目とヘソの下の2つ並んだホクロは、確かにご主人様の彼女、美亜のホクロの位置と一致はするが……」
ティグルは、私の顔とおへそ辺りを交互に見て、押さえていた力をゆっくりと緩めた。
「で、何でこんな夜中にご主人様の家に侵入しようとしたんだ?」
「確かめたかったの」
「何を確かめたいんだ?」
「あなたのご主人様、友樹が、浮気していないかを」
「はははは、そんなことか」
大きな口を開けて、ティグルはお腹を抱えて笑っている。
「私は真剣よ。彼は浮気しているわよね?」
「ああ、してるな。浮気」
「や、やっぱり……。ゆるせない……」
俯いて肩を落としている私の姿を、その黒猫ティグルはじっと見つめているようだった。
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