22人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、あの日が来た。三月十日の大空襲。
私は、母と眠っていた。凄い音がした。
窓から外を見ると、下町の方が真っ赤だった。怖くて外に出られない。
[ 火叩き棒を用意して。リュックを背負って ]
母に言われた通りにした。
明け方になると、友子さんとお母さんが来た。
友子さんは、ミッチェルの口紅をくれた、私の大切な友だち。
髪も、服も焼け焦げていた。
[ 友子ちゃん ]
[ るつちゃん ]
私たちは、抱きしめあった。
[ ここは、大丈夫でした。さぁお上がりに
なって。]
[ すみません、厚かましくて。なぜか、るつちゃんの家を目指したんです。]
[ 娘たちは、仲良しですから。]
[ 眠い ] 私は、友子さんとお母さんの
お布団を敷いた、
[ 眠りましょう ]
四人で眠った。なぜかぐっすりと眠った。
あなたは、どうしているのかと、思いながら。
最初のコメントを投稿しよう!