向日葵

1/26
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ

向日葵

あの頃、私は女学生で、あなたは、大学生。 戦争が、始まっていた。 あなたに、召集令状が来た。学徒出陣。 ふたりで、震えながら泣いた。 [ 嫌よ。あなたが死ぬなんて ] 私たちは、泣きながら愛し合った。 明日がないかのように、愛し合った。 私の家の傍に、向日葵が沢山咲いている。 夕方暗くなった時、抱きしめ合った。 [ 僕は、必ず帰って来る。約束する。だから、待っていてほしい。わかったね。] 私は、泣きながら頷いた。小指を絡ませて 約束した。 [ 私、待っている。いつまでも待っている。] 向日葵の傍で、抱きしめ合った、次の日 あなたは、行ってしまった。 向日葵の傍で、あなたはきらりと光る ダイアモンドの指環を、嵌めてくれた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!