第6話

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第6話

いつもの荒々しいキスではない事に加えて、しかも相手が鷹汰ではない慶汰の広告写真にSNSは大騒ぎしておりネットニュースにもなっていた。 SNSでは「あれは〇〇じゃない!?」「最近人気の××だよ!」と相手が誰かの討論をしているのと同時に慶汰の浮気だー!とファン達が騒いでおり、阿鼻叫喚状態だった。 冬夜もSNSを見て熱狂的なファン達の言葉に悪寒がすると何も言わずにSNSを閉じて自分のベッドにゴロンと寝転んだ。 今でも目を閉じると出てくるのはあの時のキスの感触だった。 それを思い出すと冬夜の頬が緩んでしまい、にやけてしまうのであった。 (さすがに迷惑かけられないから、ちゃんとしっかりしなきゃ) と、冬夜は自分の心に言い聞かせたが… 気が緩んでしまうとデレ〜っと顔が緩んでしまっていたのであった。 仕事中でも女性社員さんから「何か嬉しいことあった?」と問いかけられてしまう程、緩んでいて冬夜は誤魔化しながら何とか仕事をしていた。 しかしペットショップに足を運んでくれたお客様達が慶汰の今回の話をしているのを聞いても、思い出してデレデレしてしまう冬夜だった。 流石にマズイと感じた冬夜は気を引き締めようとした瞬間に、扉が開く音が聞こえて新しいお客様が来たので接客しようとした。 「いらっしゃいませー」 そう声をかけながら新規のお客様を見ると深く帽子を被って、顔が見えないようになっていた。 まるで初めて慶汰がお店に来た時の様に…。 というか、そのお客様は慶汰に背格好が似ていたのだ。 その時を思い出してじっと見てしまうとお客様も冬夜の方を見て少ししてからズカズカと近寄ってきた。 (え、なになに?なんだ!?) いきなりの事で内心驚いていると、ガシッと片手で顎を掴まれて固定されてしまいそのまま… 深く口付けをされてしまった。 「!?ん、やぁっ…んっ!」 離そうとしたがビクともせず、口内に舌を入れられて無理矢理、荒々しく舌同士を絡ませだして冬夜の目尻に涙が浮かんだ。 周りのスタッフやお客様は顔を真っ赤にしながら見ているだけで誰も助けようというのは感じられなかった。 「んんっ、ぁ…や、っ、ん!んっ…!」 やっと口が離れた時には冬夜の体はビクビクと痙攣しており、その場に崩れ落ちてしまった。 すると無理矢理キスをしてきた相手が口を開いた。 「慶汰のキス、返してもらったぜ」 そう言いながら帽子を外して冬夜を見下すのは彼は慶汰の双子の弟の鷹汰だった。
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