第7話

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第7話

いつも通りの日常を過ごしていた冬夜。 あの話し合いの後から冬夜は慶汰を追い掛けていたのをピタリと止めてしまった。 雑誌や広告で慶汰の顔を見ると楽しかった思い出が蘇ってしまい辛くなるからだ。 そして今はこれまで通りペットショップで働いていた。この間の件で慶汰と鷹汰のファンの方が時々来る様になりチラチラと冬夜を見たり、声をかけようとしてきたがその度に冬夜は笑顔で… 「さぁ?なんのお話ですか?」 ととぼけた振りをしては普通に仕事をしたりバックヤードに逃げたりしていた。たまに危ない客も来ていたがその度に店長や社員さんが助けてくれて申し訳ない気持ちになった。 「しかし、天沢くんがあの人気モデルの2人と知り合いだったなんてね」 「知り合いでもないですよ、1度だけ助けただけです」 女性の先輩社員さんと商品の確認をしながら話していると、いきなりキョロキョロと店内を見回して冬夜は首を傾げた。 「どうしました?」 「いや天沢くんと仲が良いお客様居たじゃない?今日も来ていないのかな、と思って」 すぐに慶汰の事だって気づくと冬夜の胸はズキンと痛み、しゃがみこむと「来ませんよ、もう2度と…」と言うと女性社員さんもしゃがみこんできた。 「あら?喧嘩したの?早く仲直りしちゃいなさいよ」 「ははっ…俺、補充しますね」 乾いた笑みを見せて、その場から逃げるようにバックヤードに向かうと我慢していた涙がポロポロと落ちだしてその場に座り込んでしまった。 思い出すのは動物達に向けていたいつもの広告や雑誌の写真とは違う慶汰の笑顔だった。 もう1度見たい、そう思っても…もう会うことは出来ない。 (これが普通、元に戻っただけなのに…何で…) 「会いたいです…慶汰さん…」 口に出したら駄目だと思った言葉を言ってしまうと冬夜の目から涙が流れ出して、その場で泣き出してしまいバイトの子に見つかってしまうとすぐに休憩室に入れられてしまった。 大丈夫と伝えても周りが止めてきて、冬夜はお言葉に甘えて少し休憩室で休むことにした。 (迷惑かけられないのに…俺の中で慶汰さんって凄く大好きなモデル以上になっていたんだな…) そんなことを考えながら冬夜はゆっくり目を閉じたのであった。
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