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恋人なんだから、こんなことも
――――――――――
(デート!?)
岡田は植草の言葉に、スマホを落としそうになった。
「岡田くんはどこに行きたい?」
気のせいか、植草の声がうれしそうだ。
「植草とならどこでもいいよ」
植草は笑っている。
「岡田くんのいまのセリフ、恋人っぽい」
「え、そうかな?」
「ラブラブなふたりなら、どこに行っても楽しいらしい」
「俺、植草と恋人になる前から、楽しかったよ。ふたりいっしょなら」
「僕もだよ」
動物園、映画館、水族館、ショッピング。デートの定番を言い合って考えた。
「ああ、僕が猫アレルギーじゃなければ、猫カフェが僕たちのデートコースだったな」
「そういえば朝に放送している猫アニメのコラボカフェ、やってなかったか?」
「そうだ、それ行こう! 三回行ったけど、また行きたかったんだ!」
「え、いいの?」
「コラボドリンク制覇したいんだよ」
「わかった、行こう」
三日後に、ふたりでコラボカフェに行くことになった。
――――――――――
コラボカフェからの帰り道。植草が言った。
「恋人らしいことって他にもあるよな。たとえば……」
植草が岡田の手を握る。
「こんなことも……」
岡田はうつむく。顔が熱い。
「恋人なんだし、いいよな」
「あ……う、うん……ドキドキする」
「僕もだ」
ふたりは手をつないだまま、歩き続ける。
「じゃあ。俺んち、こっちだから」
植草は手を離さない。
「送ってくよ」
「あ……ありがとう」
そのまま、岡田の家まで歩いた。
(これって、別れ際にキスするのか? 植草の言っていた最高のシチュエーションってこういうこと?)
岡田の家に着いた。
「またな、植草」
「あの、岡田くん」
「うん……」
手が離れた。と、思ったら、両肩をつかまれた。
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