キスしたのが楽しかったのか?

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キスしたのが楽しかったのか?

(だけど……岡田くんとなら、恋人になってもいい……) 友達の『好き』と恋人の『好き』のちがいは、まだはっきりわからない。 でも、もっと岡田にふれたいのは事実だ。 (……ああいう流れで、恋人になっていいんだよな……きっと) 植草はスマホを取り出して、ブラウザアプリを立ち上げた。 検索バーに『恋人 作り方』、『カップル きっかけ』、『恋人 デート』などのキーワードを打ち込んでいく。 植草は、自分の知識のなさに愕然とした。恋人について書かれたサイトを片っ端から読み始めた。 「ああ、そうか! キスしたんだから、家まで送ればよかったのか!」 早速やらかした。 サイトには、『デートしたあとのメッセージのやりとり』が載っている。 「キスしたから、デートみたいなものか。よし、これを応用しよう」 植草はスマホで岡田にメッセージを送った。 『今日はありがとう。すごく楽しかった。また会おう』 猫がハートを抱えてウインクしているスタンプも送った。猫がかわいくて購入したけど、使い道がなかったスタンプを初めて使用した。 すぐに返信が来るものと思って、待ったが、岡田からの返事はなかった。 「……岡田くん? まさか、怒ってるんじゃないよな?」 ―――――――――― 岡田は、植草からもらったメッセージを何度も読み返した。風呂に入ってパジャマを着ているあいだに届いたメッセージを。 「……キスしたのが楽しかったのか? いや、ちがうか。このスタンプは恋人だから送ったのか? いや、考えすぎか……」 何か返信しなくては。既読マークがついて数十分が経った。 『ちょっと恥ずかしかった。いまもドキドキする』 「……送信、うわ、もう既読が!?」 植草はメッセージアプリを開いたままのようだ。 植草から返信がきた。 『僕もだよ』
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