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ずっといっしょにいたい
「だって、メッセージの内容とか……」
「内容?」
「次はどんなキスをしようかっていう……」
「ああ……」
「俺のことが好きじゃないと、そういうメッセージ送らないと思う」
「……そうか。そうかもしれないね」
植草は少し間を置いてから、話しはじめた。
「僕さ、恋愛ってよくわからなくて……」
「うん……」
「でも、岡田くんにふれたいから、恋人になろうって言ったんだ。恋人になったら、この気持ちがわかるかなって思って……」
「それで?」
「……だけど、やっぱりよくわからなかった」
「そっか……」
「ただ……」
「ただ?」
「岡田くんといると、胸があったかくなって心地いい気持ちになる。ずっといっしょにいたいと思ってしまう」
「それは、恋じゃないかな?」
「……そうなのかな?」
「俺も同じだよ。それに……俺、いろんなこと、されてもいい。植草は我慢しなくていい。俺もいろいろしたいって思ってるから」
「わかったよ」
植草は電話の向こうで微笑んでいるようだ。
「岡田くん、ありがとう」
「うん……」
(これで、よかったんだよな)
いろいろしてもいいなんて、言ってしまった。
初めて植草とキスしたとき。突然のことで体が震えた。
(もっと、いろんなことをする……植草が、俺に……)
「岡田くん」
「なに?」
「いま、僕はとても幸せなんだ。こんなふうになれたのは、きみのおかげだよ」
「そんなことはないよ」
「あるよ。いままで、自分には縁のないことだと思っていた」
「そうなのか?」
「そう。誰かを本気で好きになって、その人のためになにかをしたいと思ったり、いっしょにいるだけで幸せだと思えることなんかなかった」
「俺は、いつも植草のそばにいたいと思っているよ」
「僕もだよ。これからも、よろしく」
「こちらこそ」
ふたりは笑い合った。
翌日。
『最高のファーストキスのシチュエーションがわかったよ。部屋に来てほしい』
……と、植草からメッセージが届いた。岡田は植草の家に向かった。
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