ずっといっしょにいたい

1/1
前へ
/27ページ
次へ

ずっといっしょにいたい

「だって、メッセージの内容とか……」 「内容?」 「次はどんなキスをしようかっていう……」 「ああ……」 「俺のことが好きじゃないと、そういうメッセージ送らないと思う」 「……そうか。そうかもしれないね」 植草は少し間を置いてから、話しはじめた。 「僕さ、恋愛ってよくわからなくて……」 「うん……」 「でも、岡田くんにふれたいから、恋人になろうって言ったんだ。恋人になったら、この気持ちがわかるかなって思って……」 「それで?」 「……だけど、やっぱりよくわからなかった」 「そっか……」 「ただ……」 「ただ?」 「岡田くんといると、胸があったかくなって心地いい気持ちになる。ずっといっしょにいたいと思ってしまう」 「それは、恋じゃないかな?」 「……そうなのかな?」 「俺も同じだよ。それに……俺、いろんなこと、されてもいい。植草は我慢しなくていい。俺もいろいろしたいって思ってるから」 「わかったよ」 植草は電話の向こうで微笑んでいるようだ。 「岡田くん、ありがとう」 「うん……」 (これで、よかったんだよな) いろいろしてもいいなんて、言ってしまった。 初めて植草とキスしたとき。突然のことで体が震えた。 (もっと、いろんなことをする……植草が、俺に……) 「岡田くん」 「なに?」 「いま、僕はとても幸せなんだ。こんなふうになれたのは、きみのおかげだよ」 「そんなことはないよ」 「あるよ。いままで、自分には縁のないことだと思っていた」 「そうなのか?」 「そう。誰かを本気で好きになって、その人のためになにかをしたいと思ったり、いっしょにいるだけで幸せだと思えることなんかなかった」 「俺は、いつも植草のそばにいたいと思っているよ」 「僕もだよ。これからも、よろしく」 「こちらこそ」 ふたりは笑い合った。 翌日。 『最高のファーストキスのシチュエーションがわかったよ。部屋に来てほしい』 ……と、植草からメッセージが届いた。岡田は植草の家に向かった。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加