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相手が植草だから
植草のものがゆっくりと引き抜かれ、また入ってくる。岡田の顔を見つめながら、植草は腰を動かす。
初めは苦しさのあまり、岡田は拒むように首を振っていた。が、やがて声が変わっていく。
「ん……あぁ、あ、ん……あ」
違和感があったのに、次第に快感のほうが強くなった。
中を擦られる度に、より甘く喘いでしまう。
男なのに、男に抱かれて感じるなんて。
(どうして……相手が植草だから……?)
「岡田くんの中、気持ちいいよ」
「ほんとに……?」
「すごく、く……もっと、動いてもいいかな」
「う、ん、ん……あっ、あ……」
ぶつけるような勢いで植草は己を押しつけてくる。
幾度も貫かれて、岡田は声を漏らすことしかできない。
(こんなこと、してよかったのかな……よかったんだよな……)
いまさらながら、戸惑ってしまう。
自分は男が好きという訳ではない。植草もきっとそうだろう。
なのに、こうして結ばれてしまった。ただ互いを好きだから、結ばれてしまった。
(俺たち、これからどうなるのかな……)
けれど抱かれているちに、不安はかけらのように小さくなっていく。
(……こんなに優しく、愛されてる……大丈夫だ、きっと)
「岡田くん、好きだよ……」
植草の瞳を見つめる。
ずっと見てきた、艶めいた黒い瞳。その瞳が、まっすぐに岡田を見つめている。
見つめ合っていると、愛しさが胸の奥に降り積もっていく。
静かに、静かに、限りなく。
「俺も……好き……」
岡田がそう返すと、植草は微笑んで優しくキスをした。そして、更に激しい抽送を始める。
「あ、ん、あ……あぁ」
「すごいよ……中が、締まってる」
「ん、そんなこと……言うなよ……」
恥ずかしかったが、植草が喜んでくれて嬉しい。
(俺、変なのかな……こんなに、感じるなんて……)
初めて経験する刺激があまりにも強すぎて、思考がまとまらない。
愛する人に抱かれて、ただ、ただ幸せだった。
「あぁ……ん、あ、あ……」
「岡田くん、そろそろ……」
「うん、俺も……もう……」
「いっしょに……」
「うん……」
植草が激しく動いた。
「あ……ん、あっ……」
「く……」
ふたりは同時に果てた。
(……あ……植草のが……)
植草が放ったのを、体の奥で感じる。
あまりの熱と量に、足と下腹が震えてしまう。植草の体が覆いかぶさってくる。
荒い呼吸を繰り返しながら、岡田は植草の背中に腕を回した。
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