ラスト・セブンデイズ

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 *** 『2022年8月1日 月曜日。  とりあえず、お買いものもあったし、男の子は一人でもだいじょうぶだというので、昨日は公園でおわかれをしました。  夏休みなので、学校はありません。私は、じゅけんもしないので夏休みにしなくちゃいけないべんきょうは、夏休みの宿題だけです。  だから翌日も、どうしても気になって、男の子に会いに行ってみました。なんだか嫌な予感がすると思ったら、男の子は公園のトイレでしくしくと泣いていました。  喉もかわくし、おなかもすいたし、ミンミン上手に鳴くこともできないし、ついでに大人の人に追いかけられるしでとっても怖い思いをしたんだそうです。  ちなみに、くわしく聞くと、その追いかけてきた男の人というのはあい色の制服を着ていたそうです。多分、おまわりさんが、子供が一人でいると思って心配してくれたんだと思います。  私はおこづかいで、男の子のジュースをおごってあげました。セミさんなら、甘いジュースならのめるんじゃないかと思ったのです。私は、去年はセミの自由研究をしたくらい、セミのことは好きです。樹液が大好きだということも知っています。  あんのじょう、男の子は、嬉しそうにりんごジュースをのんでくれました。  そして、いろいろくわしいことを教えてくれました。男の子は、幼虫の頃は普通のセミだったそうなのです。それが、成虫になったとたん、人間のこどもの姿になってしまったそうです。  時々、そういう“とつぜんへんい”がおきることがあるんだと教えてくれました。  自分は男の子なのに、とつぜんへんいしたとたん、鳴くことも飛ぶこともうまくできなくなってしまったんだそうです。  私は、男の子にもう一本ジュースを買ってあげると、うちの小学校にかくれているといいよと教えてあげました。  明日も会いに行こうと思います。』
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