ラスト・セブンデイズ

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 *** 『2022年8月3日 水曜日。  男の子は、今日は上手に学校にかくれられたみたいでした。  私は男の子に、私のうわぎと、ぼうしをかしてあげました。しょっかくとハネをかくせば、男の子はふつうの男の子にしか見えません。つないだ手がちょっとひんやりしていて、汗をかかないけれど、それだけです。  私は男の子といっしょに、ハンバーガーを食べに行きました。男の子は、ハンバーガーは食べられないけれど、ひんやりした甘いジュースをおいしいおいしいとのんでいました。  それから、えいがも見に行きました。人間のえいがなので、セミの男の子にはおもしろくないかもしれないと思ったけど、男の子はとても楽しそうにアニメを見ていました。  私は小学生なので、楽しい事といっても、そんなにたくさんのことは知らないです。  今日からお父さんとお母さんは旅行に行っているので、おうちには私以外に人がいません。私はもうおねえさんなので、一人でおるすばんなんへっちゃらです。  でも、本当はちょっとさみしいです。だから、男の子に、おうちに来ない?と言いました。男の子はセミだけど、男の子のすがたをしているので、ちょっとだけドキドキしました。  私は、男の子といっしょにテレビを見ました。男の子が映画が楽しかったと言っていたので、同じシリーズの、おうちにあったDVDを見ました。 「人間も、生きていく意味について、とてもなやんでいるんだね」  その時見たアニメは、SFの作品でした。宇宙に行った小学生たちが、星を守るためにいっしょうけんめい戦うお話です。 「自分には、はたすべき使命がある。そう考えられる人は幸せなのかもしれない。楽しいことを、いろいろ教えてくれてありがとう。ぼくは、やっぱり自分の使命を果たしたい。残りの時間、ぜんぶつかっても」  楽しいことはたくさんあるのに、その楽しいことより、使命を果たすことをゆうせんしたいのだと男の子は言います。  使命って、いったいなんなんでしょうか』
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