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『2022年8月4日 木曜日。
翌日から、私は、男の子が飛ぶ練習と、鳴く練習を公園で手伝うことになりました。
男の子はいっしょうけんめい公園で走って、はねをばたばたさせて飛ぼうとがんばります。
でも、はねをすばやく動かすのがうまくできなくて、なかなか飛べません。
じじじじじ、と鳴くのはもっと難しいみたいです。セミが鳴くしくみは、私も自由研究をしたのでわかっています。お腹の中の、発音筋という筋肉を動かして、お腹の空洞をふるわせて鳴くのです。でも、人間の男の子みたいな姿の彼に、発音筋はあるのでしょうか。
普通にしゃべるんじゃだめなの?とたずねたら、セミの声を出すことに意味があるんだ、と言われました。
私にはよくわかりません。
でも、人間の私には、意味がないと思えることでも。セミの彼には、とても意味があることなのかもしれません。
だったら、意味がないなんて言ってはいけないのです。
人間同士でも、それは同じなのです』
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