出会い

2/2
前へ
/47ページ
次へ
その紅一点の国語の先生は井口紗枝と言った。 30代前半というところだろうか。 背は私よりかなり小さめで155cmないくらい。 色白で声が高く、可愛いとは言えないけれど 喋り方や身のこなし、その見た目から小動物を連想させるような人。 というのが第一印象だ。 結婚指輪はしていないので独身だとは思う。 そんな彼女の授業はわかりやすく、 国語が苦手な私にとってはありがたかった。 塾は基本 「わからないところは質問しろ!」 というスタンスなので、理解力がない私は何度も井口先生の所へ質問しに行った。 「先生、ここわかりません。」 「え、ここ?こっちじゃなくて?」 いつも変なところでつまずく私にも、先生は丁寧に指導してくれた。 帰宅する度に毎回微妙な小雨がパラパラと降っていた。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加