散りゆく桜

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散りゆく桜

あらからしばらく、先生は私と抱き合ったまま泣いていた。 「林さん…ごめんね。」 声が掠れている。 「せ…」 私には、言いたいことが確かにあった。 でも、ありすぎる。 何から話せばいいのか分からず、しばらくの間沈黙が続く。 「あのね、林さん。」 すると先生が先陣を切った。 そこから、私が聞いたことは、簡単に言うと衝撃的だった。 どのような事を伝えられたかはわかる。 しかし、それを具体的に自分の脳内で書き起こす事は不可能だった。 先生は長いこと話していた。 泣き出しそうな顔で、でも堪えて、以前より鋭さが半減した眼差しで私を真っ直ぐ見つめていた。
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