過去からの…

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デートの時は、車に乗るとすぐに翔に抱きついた。 「ん? どうしたの?」 「しばらく、こうしてたい!」 「いいよ」と黙って抱きしめて頭を撫でてくれた。 それが心地良くて……1番の安定剤だった。 そして、そのあとは、必ず翔を見つめる。 「好き?」 「うん、好きだよ」と、必ずキスをしてくれる。 軽いキスではなく、毎回丁寧に…… 何度聞いても面倒くさがらずに、「好きだよ」って答えてキスで安心を与えてくれる。 そんな翔が大好きだった。 大学の4年間ずっとお付き合いは続き、いよいよ社会人へ その頃、既に結婚の約束をしていた。 だから、私は就職は、結婚までの腰掛け程度にしか考えていなかった。 なので、早々に事務職で内定をもらい決定した。 事務職ならどの会社でも良かったのだ。 でも翔は違った。どうしても商品開発に携わりたかったようだ。商品自体は、興味のある物なら何でも良かったが、とにかく自分が考えて商品が出来上がるのを見たかったようだ。 おもちゃ、文房具、飲料、食べ物など、あらゆる商品の会社にエントリーし、最終的にはビールの商品開発に携わることが出来たようだ。 楽しそうだったが、ビールを実際に飲んだりもするので、お休みの日以外は、車の運転は出来なかった。 なので、大好きなハグが出来なくて寂しいことも……というより、帰宅時間はいつも11時前。 それに、ほろ酔いだったこともあり、帰宅後の電話では、呂律が回らないこともあった。 疲れているだろうと簡単なメッセージだけで済ませることも多かった。 ずっと、そのことを心配していた。 そして、翔はやってしまったようだ……
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