シロツメクサの指輪はプラチナにならない

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「わたし、眞ちゃんのお嫁さんになるの!」  シロツメクサの咲き誇る川岸で、二人で追いかけっこをした後。  幼馴染の風花(ふうか)は、花の冠を編みながら、満面の笑みを閃かせた。 「真っ白いドレスを着て、真っ白いお花を持って。指輪は眞ちゃんと一緒に選んだものを、交換こね」  無邪気に喋りながら、ちいさな手が、せっせと冠を作り上げてゆく。  幼い夢だと笑い飛ばすこともできただろう。  だけど、僕はそうするほどには大きくなくて。風花に対して心の中で抱いている気持ちも、僕らを照らす太陽のように明るいものだったから。  笑顔を返してシロツメクサを一輪手に取り、茎で輪っかを作ると、風花の幼い手を取って、左薬指に通した。 「約束するよ」  目をまん丸くして、シロツメクサの指輪を見つめる風花に、僕は宣言する。 「僕は風花をお嫁さんにする。他の誰も選ばない」  途端、驚きに満ちていた風花の顔は、ぱっと輝いて。 「絶対! 絶対だよ! 約束!」  まだ完全にはできあがっていない冠を僕の頭にかぶせると、強引に僕の手をつかんで、指切りをした。
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