コロシアム

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「あ...あ...や、やめて、ください」 男が口をガチガチと震わせて怯えている 丸まって頭を抱え込む男 相当な怯えようだ 大の大人が恥ずかしいとは思わないのか? 目の前の男は人殺し リストによれば3回目の殺し、しかも今回は5人も子供を殺してる 「お前、人殺しだろ?しかも、子供殺し」 「は、はい」 男は俺を怯えたような目で見る 「なのに、ビビってんの?目の前の死に?」 「こ、ころされ、たく、ないです、お、俺は悪くない」 コイツ... はぁ、さすがにラストの仕事となると疲れるな さっきまでの奴らは、まだ正当な理由があっての犯行だった まぁ、結局殺したんだけど... 「お、俺は…掃除してやったんだ...目の前でワーギャー騒ぐうるせぇゴミを掃除してやったんだ!!」 男は唐突に吠える なんも、反省してねぇし…やるか "カチリ" 「ひっ!」 男が脅える 俺は男に目標をあわす そして、レバーに手をかける 「なぁ。じゃぁ、俺がお前を"お掃除"してもいいよなぁ?」 「な!俺は、殺されたくない!お願いだ!償うから!」 「うるせぇ!!」 "バンっっ" 大きな破裂音が響きわたる 「あ、あ...」 男はもう泣いていた 足元から土煙がでる しかし、流血はなく地面が削れているだけだ 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!」 男は音にパニックを起こした "わぁぁぁぁぁ!!!" "もっとやれぇぇぇ!!!" "チャリンチャリン" 上から歓声があがり、コインが降ってくる 男の後ろには黒い高い壁 2人の周りを囲うように壁が立っている その上には観客席がずらぁぁぁと並んでいて、観客者が興奮気味にこちらを見ている この、一方的な人殺しを どいつもこいつも身なりはスーツやドレス 言わば貴族とか成金ってやつ 彼らがつける帽子や腕時計は太陽に照らされてキラッキラに反射している 「あ、あなたはナイト様って聞きました!」 男は唐突に言った 「あ?」 俺は目線を男に戻して、もう一度レバーに手をかける 隣の壁から"刺さないでくれ、やめっうっ!!!"と呻き声が聞こえた 男は横目で隣の壁を一瞬見て、続けた 「ナイト様だって!騎士なら、ゆ、許してください!」 「騎士じゃねぇ…」 俺は低く唸る そして、手に力を入れ目標を合わした 「夜のナイトキャット、黒猫だ!!!」 "バァァン!!!!" 先程より大きな音 "グシャッ" 土煙から血が流れでる それも、大量に じわじわと広がる赤い水溜まり 怯えていた男は細く息を吐き、空を見ていた その瞳はもう黒く生を感じない 「はぁ…仕事終わり」 誰だよ、俺をナイト様だとか噂広げたやつ 見つけたら、ぶっ殺してやる "カチャカチャ" 俺は銃にロックをかけホルスターに戻す 上を見上げれば、観客が俺をヒーローみたいな眼差しで見ていた 俺は騎士じゃねぇ…
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