コロシアム

5/11
前へ
/34ページ
次へ
"バンバンバンッ""キーーン""バキュンッ""ピーーピピピッ" 銃音や爆発音、機械音 色んな音がなる広場 「もう1回!!」 「もう、10回戦目だぞ…」 懇願する白兎と呆れ顔の俺 「でも、引き分けなんて嫌!」 「5:5、俺ら毎回引き分けで終わるじゃん」 「だから、今日こそ!!」 "お願いー!"と手を合わせる白兎 「しょーがねぇなぁ、あと一回やって休憩だぞ」 「わーい!」 白兎は喜びながら、両手を横に広げる 俺もならい、両手を広げる 「「バトルフィールド」」 2人でそういうと、俺たちの周りは見えないガードが広がった 一室全体を覆うガードフィールド バトルをする上で重要な役割を果たすこのシステム これが無ければ、周りの者も壁も建物も怪我どころでは済まされないだろう 「「バトル、スタート!!」」 そう2人で発言した時には、お互い足が動くのも同時だった ここ、バトルセンターは、自分の力を使ったバトルを繰り広げるには最適な施設だ バトルには、いろいろな種類があり、殺し合いと称した撃ち合いや剣を使ったバトル、スポーツバトルや、ポーカーなどのカードゲーム、お金が動くギャンブルも入ってくる 射撃訓練場やひとりゲームなんかもある施設だ それから、なんと言っても1番人気なのが... 今、俺と白兎がやっているマジックバトルだ この世界には習得すれば誰でも使える魔法というものが存在する それを駆使してバトルに挑む パワーアップアイテム等もあるが、それらは自分で開始前に設定する 今回は、アイテムなし/固有スキルあり/1回戦即終了バトル 「黒猫さん。逃げてても、ここは射撃場じゃないんだよ!」 白兎が、離れていく俺に叫ぶ ハッ、そんなん分かってるつーの 俺は茂みに隠れる 「シャイニング・ビースト!」 白兎が叫ぶと同時に、白兎の前から光に包まれた狼とも熊ともとれる獣が現れ、鋭い牙を見せながら、こちらへ走ってくる これが魔法の力だ ありえない奇跡とも言えようことができる業 俺は茂みから身を上げ1歩下がり、その姿を捉える 「12の月導…」 俺が静かにそう言うと、月や星で青く構成された魔法陣が俺を中心に足元へ現れる 水瓶座や乙女座、蟹座に蠍座 12の星座が魔法陣の上を回る 「7、8の月標―――星と星を結び、今此処に」 選ばれた其れは、立派なたてがみに鋭い牙と爪をもち、獲物を睨む 「いけ」 俺が短くそういうと、其れは走り出した それを確認し、俺は白兎の横を通り過ぎ後ろへ回ろうとする 「サニー・リボンっ」 白兎が次の業を仕掛けた 俺はグッと後ろへ飛び、それを回避する 俺の足元に光の線が走った あっぶねぇ、これに当たったら火傷してたな 相手の業に対抗したり回避したりしながら戦うこのゲーム 勝利条件はとてもシンプル 相手のHPを0にした方の勝ち そろそろ仕掛けるか… 「新月の円盤、セット」 そう俺がつぶやくと、床に大きな黒い円状の場所が無数に現れた 「めんどくさいやつ仕掛ける!」 白兎がむくれる 「そんな顔されてもなぁ…くるか?こないのか?」 俺はニヤリと笑う 白兎と俺の間には無数の黒い円状の場所 足で通れる隙間はあるにはあるが、もし近づいた場合奈落の底だ ちなみに、白兎の後ろにも広がっているため、白兎はもう何処にもいけない 「こないなら、もういっちょ…ブラックローズ」 「なっ、ホワイトローズ!」 俺が言うや否や、白兎はそう叫んだ 床から、ズズズズっと引きずるような音を出しながら黒い棘のある枝が走った それを抑えるように白い棘のある枝が追いかける 白兎まで後ちょっと、という所で黒い枝は止まった 白兎はホッとしたように枝を見つめる 白い枝が黒い枝に絡み、がっしりと離さない これではいつまでたってもHPは削れない… せめて、白兎がなにか仕掛けてくれれば動けるんだけどなぁ そう思った時、白兎が枝から顔をあげる 「ビューティ・レニー」 なんだ?はじめて聞く業だ ごごごご… 上から、そんな音が聞こえ天井を見上げる 四方八方から白い雲がもくもくと現れる しかし、それはとても大きな雲になり… ポツ…ポツポツ、ポツポツポツポツ さぁぁぁぁ…ざぁぁぁぁぁぁぁ!! 大雨が降り出した 「!?」 しかし、白い雲から振る雨はキラキラと反射しているように見える 「これだけじゃないよ、黒猫さん」 白兎はニッコリ笑う 先程まで黒い枝に絡みついていた白い枝は上に枝分かれし延びる ぱんっぱんぱんぱんっぽんっぽんぽんっぽんっ そんな軽い音を鳴らしながら枝の先端から芽が出てきて、あっという間に蕾になった その蕾はどんどん膨らむ まるで風船を抱えているようだ なにがはじまるんだ?? 俺はその時をじっと見守る 雨は少しずつ弱まり、雲は小さくなっていく 蕾はその時を待っていましましたというように… リンリンっリンっリンリンリンっ 鈴のような音を鳴らし開花した 花の大きさは実に直径30cm程の大きな薔薇 薔薇の中央には白い玉のようなものが1つ キラキラ光っている 「ウィンの舞」 白兎が静かにいうと、ヒュンという音が聞こえるくらいの風が吹きはじめる そして、白い薔薇が揺れ始めた キラキラとした玉から、なにやら白い粉が出るのがわかる 「人魚の星の呼び声!」 俺は叫ぶ 床から水がぶくぶくと溢れ出す ざっぱぁぁぁん!! 波が一気に浮く キラキラとした青い波 水飛沫が白い薔薇にかかる 辺り一面水で溢れ返り、足は愚か波のせいで全身びしょ濡れ しかし、ここからが、この業の真骨頂 波は止まることを知らず、水飛沫をあげる それから、高く飛び上がったと思うと花一面を覆い隠し飲み込もうとした、その時… 「シャイニング・アロー!」 「えっ…ぐぁっ!!」 "グサッ" "ガガガガッざざざっ…" 水の中から光の矢が通り抜けてきて、俺の足に刺さる 俺は横転、地面に転がった じわじわと熱が足に広がる 転がり滑った俺は足を抑えながら、上半身だけ起こす 焼けるような痛みが足を襲い、立ち上がれそうにない やられた…まさか固有スキルが飛んでくるとは 「油断したの??」 白兎が走ってきて、言ってくる にんまり微笑む顔が嫌味だ その白兎を睨みながら、俺は言う 「油断したのはお前だ」 "パァン!" 「え」 突然響く発砲音 白兎が呆気に取られている隙に俺は床に手を当てて叫んだ 「夜空光る宝石銃!5弾殺ってやれだぜ!」 先程仕掛けた黒い円盤から夜空が広がり、宝石のようにカラフルに光る星が床1面瞬く 躊躇せず床に手を突っ込み、固いソレを引き上げる "ぱんぱんっ!" "ぱんぱんぱんっ!!" キラキラ光る弾が弾ける 白兎の身体を目掛けて飛ぶ まるで流れ星だ 綺麗に白兎の身体を貫通して、いずれも赤い血を染め上げる "ドサッ" 白兎が後ろに受け身も取れずに倒れた "WIN NIGHT CAT!!" 文字が床と天井にでかでかと表記された 『白兎HP0。黒猫HP10。勝者黒猫、これよりバトルを終了します』 そして、放送がなった フィールドが揺らぎ、崩れていく 次第に、足の痛みが引いていった 白兎も、悔しそうな顔して起き上がった
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加