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傷一つ無い、
磨きこまれたような床のタイルが、
人のいない場所でひとりでに浮き上がり、くるくる回転したかと思うと、
元の場所に収まった。
誰もが髪をなでつけ、
襟のたった服を着ている。
至る所にボールみたいなものが浮いていて、光って何かを呼び掛けていた。
それは声をかけた者の元へと飛んでいく。
それにしても、なんて人の多さだ。
何かの祭りか、事件でも起きてるみたいだ。
街に入るとさらに驚いた。
足元の道が音もせず滑らかに滑る、
ベルトコンベアーだった。
歩かずとも勝手にフレアとダイロ、
その他の人たちも運んで行く。
前にいた人だけが、
急に右の道へと流されて行った。
他の人たちも、どんどん分岐していく。
「フレアさん。
こ、これどうなっちゃうんですか?」
「この床にセンサーがあってね、私たちがこの国のチェックを受けてないのを感知してるから、きっと宿屋に連れていかれるのよ。」
「や、宿屋っすか…。」
「ええ、私は以前登録済みだけど、
ダイロくんはまだでしょ?
今回の任務は毎回2名で行うことになっているから、いつもの宿屋へつれてってくれているのよ。」
「…そんなんもわかるんっすか。
あ、もし、行きたくなかったら、どうするんすか?」
「その場合は入国前にセリープを入手しておくの。」
「セリープ…」
「この床が判断するための、行く先を示すカードみたいなものよ。」
「入国チェックっていうのは、宿でいいんですか?」
「チェックって言っても、
個人データの採集と登録ってことなの。
どの宿屋で登録したものであっても、レーニア国中に即座に反映されて後はスムーズにこの国を動けるようになるわ。」
「個人データの採集って言うのは…」
「この国は、入国する全ての者のデータを取っておくの。すると、この国で犯罪を犯したひとは次には入国すら出来なくなるって訳。」
「はあ、…。」
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