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【バレンタイン】
中3のバレンタインの日
バス停に兄がいた
声をかけようとしたら、バスが来た
バスから女の人が降りて来た
兄は笑顔でその女の人を迎えた
その女の人は兄に紙袋を渡していた
兄はその女の人の頭を優しく撫でていた
その女の人は嬉しそうに兄を見上げていた
兄は自分のマフラーを女の人にかけて首に巻いた
女の人は嬉しそうにそのマフラーに触れていた
次のバスが来るまで兄とその女の人はベンチに座っていた
兄はずっとその女の人の髪を撫でていた
次のバスが来たら名残惜しそうに二人は手を振って別れていた
兄はそのまま歩いて帰った
私はそこから動けなかった
『やっぱりショック?』
その声で初めて我に帰った
いつの間にか隣に並んでいたその人は兄と同じぐらいか、もしかしたら兄よりも背が高かった
その人はパーカーのフードを被りマスクをしていた
私『………えーっと…………』
『あぁ………篤のツレ』
私『あぁ、はじめまして…妹です……』
『2回目』
私『え?』
『会うの、2回目…ずっと前に家でトイレ借りたよ』
私『・・・・・あ、あぁ笑
それは失礼しました笑
ってか、その格好…どうしたんですか?』
『風邪ひいた』
私『それは大変…お大事に…
こんな寒いとこにいないで、早く帰った方がいいですよ💦』
『………うん、ソックリそのまま篤妹に返すよ笑』
私『篤妹って……笑
向井 イチ…………』
名乗ろうとしたらその男の人の携帯がなった
『悪い』
そう言って電話に出た
私は『帰ります』と口パクして頭を下げて帰った
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