BARあずさ

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カウンターでは顛末に聞き耳を立てていた常連が笑顔で待ち受けていた。 「せっかくママが助言しようとしてたのに先走った子だったねぇ」 「まったくだ。それにおばさんだなんてまだ若いのに。 あの子たちだってあと10年もすればジジババってことになるじゃないか。」 「そうそう!それだと僕や藤枝さんなんて化石かってはなしですよ(笑)」 「はは・・・」 必死で慰められつつも乾いた笑いしか出ない。 「っていうか、10年もないでしょ。梓ちゃんまだ28なんだし。あと20年はジジババじゃないじゃんね?」 「え?」 「…あっ」 常連客はじめ、カウンターの客が小さく驚いたのを見逃しはしなかった。 「お気になさらずに…老け顔なのは自覚ありますからっ」 発する声に棘が出るのは仕方ない。 昔から老け顔と分厚い唇がコンプレックスだったし。 、
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