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——「楽しそうだね、クラウン」
レオンに話しかけられたクラウンは、少しばつが悪そうに視線を逸らす。
「——ん。まぁな、お前らといると飽きねぇよ」
「そうか、僕も感謝してるんだよ。僕と対等に話してくれるのは君くらいだからね」
「お前……」
「さて、そろそろ分かれ道だ。じゃあまた明日かな」
レオンはそこで話を切り上げた——。
「レオン様、私も家まで一緒に!」
「私も付き合うとしよう」
「いつも言ってるけど、僕がお供してもらうんじゃなくて結局、僕が君達を家に届けることになるんじゃないか……」
レオンの家に行って、そこから帰るのでは二人の帰りが夜遅くになる。
結局はレオンが二人を家に届けることになるのが恒例だ。
そしてクラウンとユタも帰り道が違うため、ここで解散になる。
「んじゃまた明日なぁ〜」
「うん、バイバイ!」
両隣をしっかりとキープしたマリーとリザ、二人にサンドイッチされて、溜息混じりながらも今日も家まで送ることにしたらしいレオン。
そしてビスケットを口に頬張り、元気になったらしいユタに別れを告げてクラウンは歩き出す。
中学までは自分が、今のような学生生活を送ることになるとは、思ってもみなかった。
容姿端麗ではあるが、故郷ヴォルガラード帝国の主要民族であるニヴル人特有の紅く鋭い瞳、色素が抜けきったような白過ぎる肌。
これは差別の対象ではないが、王国ではどうしても目立つ。
その上に明らかに染められた銀髪や高校生には不釣り合いなアクセサリーも注目を集めた。
それは時に興味本位の悪意を向けられることにも繋がる。
だが、生まれながらの容姿や自分の趣味で何故他人にとやかく言われなければいけないのか。
納得のいかないことに従う気はない。
相手が腕力に訴えるというのならば、真っ向から戦うだけだ。
そういったものと戦い続けてきたのが、中学までのクラウンの日常だった。
「まぁ、こういうのも悪くねぇな。それにしてもレオンの奴……あぁ、めんどくせぇ! あいつ、人の問題には簡単に首突っ込むくせ、自分のことは何も語ろうとしねぇのいい加減にしろってんだよ」
クラウンは苛立たしげに自慢の銀髪を搔きむしると、ゆっくりと歩き出す。
わざわざ来なくても良いとは何度も伝えてるのだが、直に姉を乗せた車が迎えに来る頃だ。
「——うっ!!」
その痛みは突如——。
クラウンの胸に、かつて経験したこともないほどの激痛が走る。
視界もついには、ぼやけはじめ、彼は何とか近くの建物の壁を目指して歩き出す。
「くそっ! 何なんだよ、この痛みはっ!!」
——トットットッ……。
前方からブーツが、地面を歩く特徴的な音が近付いてくる。
一人の男の姿をクラウンの瞳は捉えた。
だが、視界の悪くなっている瞳が映すその姿は朧げで、実態を感じさせない。
——「よぉ。見つけたぜ、魔術師……!!」
※作品を読んでくださる皆様へ
作者の皐月紫音です。
この度は貴重なお時間を使って『UnderGround Magica』をお読みくださり、ありがとうございます!!
表紙でもあるヒロインのグレイシアのイラストをこちらに貼っておきます。
イラストレーターはmikou様Twitter kou_c1 です。
こちらを参考に物語をより、楽しんでいただければと思います。
本棚やスターなどいただければ、とても励みになります。
必ずや皆様を楽しませる物語をこれからもお届けしますのでよろしくお願いします!!
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