Nox.Ⅳ 契約の詩〜Contractus〜

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⁑⁑⁑⁑⁑  空に憧れ、空に見捨てられた者たちが作り上げた虚構(きょこう)(そら)——。  そこには無数の飛空挺が、鳥が、竜が——飛び回っていた。    街の中心には一つの塔がある。    白銀の双翼をモチーフとした二つの翼が重なったような外観の塔だ。  虚構の(そら)を貫き、その塔はまるで、女神が住まう遥か彼方――〝天空の園〟まで永遠に伸びるかのように建っていた。  だが、その塔は女神の世界はおろか、地上に届くことすらも決してない。    この(そら)、この世界、それ自体が〝彼ら〟を閉じ込める箱庭なのだ。  塔の主人は最上階に一人で眠っていた——。  シワだらけの顔には生気がなく、体は痩せ細り、最早(もはや)、自分一人で動くことすらもできない。  その指は震えながら、最後の役割を果たすかのように、宙へと魔の力を宿した文字を(きざ)んでいく。 「そうか……シアよ。再び共に歩むものを見つけたのだな。なれば——」
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