ANGRY DUNK

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「よくがんばったよ、大樹」 「ごめん、オレのせいで」  県大会という名の壁は背丈だけで越えられるものではなかった。  圧倒的な存在感を示し続けた大樹だったが、足元が(おろそ)かなままだった。バスケットのための筋肉とスタミナは簡単にはつかない。シューズの靴紐を解くと、酷使した足が鉛のように重い。  一年間だけでは限界だった。しかしもう少し、強気に攻めてくれれば──。  一星はそう思いながらも大きな背中を叩いて言った。 「おまえが居たからここまで来れた」  しかし敗因はそれだけではなかった。 チーム全体の空気も決して良くはなかったのだ。小学校からの仲間同士がほとんどのチームにわずか一年間だけの在籍は、当然ながら馴染めなかったメンバーもいる。一星と大樹にポジションを奪われた者もいる。 「あー俺が出てれば勝てたかもな」 「なんだと?」 「おまえら俺たちの小学校からの六年間を台無しにしたんだぞ」 「なに言ってんだ。俺が監督に言って練習メニュー変えたからここまで来たんだろ。大体おまえら、サボりながら適当に練習してたじゃねーか」 「なんだと? 大体おまえ偉そうなんだよ。元キャプテンだか知らねーが」 「黙れ、俺が居たチームは毎年県大会に出場してたわ」 「一星、おまえあとで顔貸せ。ゆるさねーから。逃げるなよ」
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