ANGRY DUNK

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「どうした大樹」 「ご、ごめん一星くん」 「謝らなくていい、いつも通りの動きで掻き乱すぞ!」  一星はドリブルをしながら目で合図を送った。それに合わせてスリーポイントシューターの宮田が得意な位置に駆け込みボールを受け取った。 「打たすか!」  相手のディフェンスがブロックの姿勢に入る。その脇を宮田がドリブルで駆け抜ける。 「チッ、フェイントか! ヘルプ!」  大樹をマークしていた高杉が駆け付けた。それに合わせてフリーになった大樹がゴール下で右手を挙げる。 「だよなぁ」  高杉がニタッと笑い右腕を伸ばす。宮田から大樹へのパスを、まるで自分へのパスのように軽々と受け止める。 「くそ! 走れ!」  そのまま猛スピードで加速して行く後ろ姿は、明らかに体格とは似つかない。ドリブルは高く、速さだけを重視したスタンスだ。追いつければカットできるが、速すぎる。 ──なんなんだ、コイツ。  一星の見つめる先で、またしても高杉はリングにボールをねじ込んだ。 「二連続ダンクだ!」 「すげー! なんだアイツ」  ギャラリーが沸き立つと、高杉はニヤリと笑った。パワーとスピード、それに反射神経までも兼ね備えた存在にエブリス学園の誰もが心の中で思った。  コイツは化け物だ──。  同時に誰もが一人の男を思い浮かべる。この化け物と張り合えるのは、一人しかいない。
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