10000枚のラブレター ~家畜より愛をこめて~

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「これは……肉球?」  バラララララ……!とページをスライドさせると肉球スタンプが延々と続く。結局、蹄はせいぜい10枚くらい。チャーコ関係で肉球と言えば。 「……ヌコリンだな。……わっ!」  テーブルの下に、(くだん)の黒猫が力尽きて伸びていた。  おそらくチャーコに泣きつかれてぺったんぺったん。一晩中、黙々と肉球を便箋にスタンプする黒猫の姿が目に浮かぶ。 「あれ?」  ちらほらと異常に小さい肉球も交じってるのは一体? 「……よっぴぃさん、かな。ハムスターサイズ」  他にも馬の蹄鉄や亀の頭部スタンプ&「新書籍、出版おめでとう!」「我が君・らびゅ💕」「マイスターー!!」「いつも感謝です」等のメッセージが綴られたページも沢山。  どうやらチャーコの友だちだけでなく、ケイ自身の友人も協力してくれたようだ。 「全く、大勢に面倒かけやがって。起きたらトイレ掃除3日の刑だ」  プギ―……と寝言をかますチャーコと死んだように眠るヌコリン。2匹にブランケットをかけてやり、ケイは朝日の窓辺で10000枚のラブレターをめくる。  彼の人生を彩る、温かい心の束を。 「それにしてもホントに10,000枚……うっ!?」  ラストは紙面いっぱいに、キモいオッサンの顔スタンプ。下に「パッション!」と力強い殴り書きが。 「顔拓(がんたく)とは……さすがホマレーヌ清水画伯! 熱いぜ!! ありがとうーー!」  こういう懐の深さも、きっとケイがみんなに愛される所以なのだろう……。  おちまい🐷  圭、『怖い物件』出版、本当におめでとう!(*´∀`*)
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