このまま あなたの横に

病室

あれから10年も経ったとは思えない。
一般病棟の片隅、目を覚ますこともない息子を毎週土曜日に見舞ってくれる彼女に もう来ないでいいの と何度伝えたことか。

彼女は「いいんです、約束ですから」と微笑んだ。
息子が目を覚ましたとて、日常生活を送れるともかぎらない。彼女には彼女の人生を送ってもらいたい。

息子を見つめていると、医師がやってきた。
「普通なら体力も落ちてくるのですが、、、無責任なこといいますが眠っているだけのようですね」
医師のその言葉をどう受け止めるべきなのか。

また、次の土曜日がやってきた。