チューニング10回目 譜読み

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チューニング10回目 譜読み

楽譜を早速眺めていると、山本先輩が手招きをしてきた。 「なんですか?」 「…眺めるだけじゃだめ…。」 山本先輩は、小さな声でそういう。きっと私にしか聞こえてないんじゃないかというぐらいの小さな声だ。 「駄目なんですか?!」 私が叫ぶと甘泉先輩がこっちへ来る。天野先輩は早苗につきっきりだ。 「美穂ちゃん。楽譜は読まないとだめなのよ。眺めていてもどんな曲かよくわからないでしょう?」 私は小さくうなずく。 「そうね…。まずは運指を書いてみましょうか。」 私が運指?と首を傾げそうになったとき、山本先輩がこれまた小さな声で言う。 「テューバの指のこと…。これを抑えて音を変える…。ピストンっていうんだけど……。」 よくわからない。 とりあえずテューバのピストンというものを抑えるときの指の番号らしい。 「これは運指表。どの音がどの指なのか書いてあるから、これを見て覚えてね。」 甘泉先輩はニコリと笑った。 「ありがとう…ございます。」 「頑張ってね!」 私は大きくうなずくと同時に早苗の「分かんなーーーいいいい!」という声が聞こえた。
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