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チューニング13回目 音
テューバを持つことができた私はその状態のままずっと座っていた。
甘泉先輩は妙に上の空だし、山本先輩は甘泉先輩を心配している。
天野先輩は早苗につきっきりだし、早苗はまだバジングを続かせることができず、苦戦しているようだ。
そしてその状態が続くこと10分。
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うっ。重い。
テューバスタンドがあるとはいえ、私の手は限界を迎えていた。
山本先輩は今日用事があるらしい。早めに帰った。なので私のことを気にしてくれる人はいない。
おろし方もわからないのに、無駄におろしたら壊れてしまうかもしれないと思うと降ろすことができなくなる。
手がふらふらする。私は、もうえい!と楽器を顔に近づけた。
そしてそのまま息を入れる。
プーーーーーー。
かなりいい音が出たのでは?そう思った矢先、上の空だった甘泉先輩も、早苗につきっきりだった天野先輩も、そして早苗もこっちを向いた。
もしかしたら吹いたらだめだったのかもしれない。
甘泉先輩が私の方へ歩いてくる。
ほら、やっぱり。
だが先輩は私の予想を裏切った。
「美穂ちゃん!!!すごいじゃない!!!!!!!!なかなかいい音よ!初めてにしてはやるわね。なにかやってた?」
私は小さく首を降る。天野先輩は早苗に教えることに戻ったが甘泉先輩は私の楽器のベルをつかんだ。
どうやら重そうにしていたことに気がついたらしかった。
それから甘泉先輩につきっきりでいろんなことを教えてもらう。
吹奏楽部ではドイツ音名を使うということ。B♭の口の形。Dの運指。そしてB♭とFの指はどちらも、0番ということ。
かなりのことを一発で教え込まれたのである。
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