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最終チューニング 半年後 泣いても笑っても…
チューニングがおわった。
あれから約半年がたった。
私は無事コンクールメンバーに選ばれ、絶賛練習中だ。
「先輩!チューバって片手で持たないといけないんですか?」
チューバについて昨日調べると、チューバスタンドを持たないといけないためチューバを片手で持つのが一般的のようだ。
「…なるべくそれがいいけど…先輩に…チューバスタンド持ってもらうのもいい……俺は…スタンド使ってないから…俺が持ってもいいよ…。」
山本先輩もかなり饒舌になったのではないだろうか。
私はありがとうございます、と言うとチューバのチューニングを再開した。
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全国への扉は開かれた。
今から金賞を取れるかどうかは私次第。
亜美や、百合子、泉はこの場にいるのだろうか。
私は山本先輩にチューバスタンドを預ける。早苗は甘泉先輩に預けたようだ。
私はおろしたての靴でステージへ踏み出した。
キラキラとライトが顔を照らす。
観客席の方を向くと、一瞬亜美の顔が見えたような気がしたが気のせいだろうか。
私は椅子に座るとチューバスタンドを山本先輩から受け取る。
そしてチューニングを始めた。
プーーーーーーーーーーー。
あの頃と比べ物にならないようなきれいな音を出すと、先生の指揮を見た。
先生が指揮棒を振る。
皆んなの呼吸が一つになる。
すぅ…。
全国大会の始まりだ。
完
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