チューニング7回目 帰り道

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チューニング7回目 帰り道

下校時。 「な〜〜美穂ちゃんってなんで吹奏楽部はいったん??」 ちょっと関西弁混じりだ。秋田さんなのに。 「小学校の頃…子供キャンプがありまして、そこで集まった4人と約束したんです。来年全国大会で会おうって。」 すると早苗は私の顔をじっと見つめてきた。 「……っ??」 「美穂ちゃんてそういう約束する子だったんだね〜〜。」 早苗はどこか空遠く見つめているようだ。 「そういう秋田さんはどうして吹奏楽部に入ったんですか?」 早苗は私の方を向くと、ニコリと笑った。 「お兄ちゃんもお姉ちゃんも吹奏楽部。でもどっちも全国行けなかったから私が連れて行ってあげようって思ってさ。」 そういった早苗は、とてつもないほど大物に見えた。だがそう思ったのもつかの間、早苗は無邪気な笑顔に戻る。 「美穂ちゃん?秋田さんはやめてよ。早苗でいいから!」 私は返事がしづらく小さくうなずく。 「じゃあ、早苗さん。」 だが早苗はまだご不満の様子。ちゃん付けじゃないとだめなのか。 「…早苗ちゃん……。。」 すると早苗は無邪気な笑顔をさらに無邪気にして笑った。 そこから帰るまで他愛のない話が続き、だがとても楽しかった。 「ところでさぁ、あの山本先輩と、天野先輩絶対両思いだよね〜。」 私は早苗の顔を、は?と言わんばかりにみる。 「えっと…女の先輩は山本先輩じゃなくて甘泉先輩ですよ??」 「あ、そっか。私名前覚えるの苦手だからなぁ…。」 早苗は手を頭の後ろに回すと、少し後ろのめりに歩く。 「ところで、天野先輩の下の名前なんだっけ。」 私は小さくため息をつくと、答える。 「京太郎。」 「あ、そうだっけ。陸じゃなかった?」 「それは山本先輩!」 「あれ〜〜?」 こんな話が友達とできるのは夢のようだ。私は、家につくまでに自然徒歩幅を小さくしていた。 「じゃあ私の家ここだから!じゃあね!」 早苗がそう手をふると少し寂しさを感じた。
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